私の父は、昔から絵に描いたような、不器用で無口な人だった。私がどんなに些細なことで喜んでいても、悲しんでいても、父の表情が大きく変わることは滅多にない。愛情がないわけではないと分かってはいても、その感情表現の乏しさに、幼い頃は少しだけ寂しさを感じたこともあった。そんな父が、私の結婚が決まった時、どんな反応をするのだろうか。韓国フォトウェディングの評判から見る選び方のヒントを内心、少しだけ楽しみにしていたのだが、彼から返ってきたのは、いつものように「そうか」という、たった一言だけだった。結婚式をせず、フォトウェディングという形を選ぶと伝えた時も、父はただ黙って頷くだけ。ああ、やっぱり父は父だな、と、私は少しだけ肩を落とした。まさか、その静かな表情の裏で、父が娘のために、生涯で一度きりかもしれない、不器用で、けれど最高に温かいサプライズを計画してくれていたなんて、知る由もなかった。 フォトウェディング当日、私たちは両家の両親もスタジオに招待した。結婚式の代わりだからこそ、一番近くで私たちの晴れ姿を見てほしかったからだ。ウェディングドレスに身を包んだ私を見て、母は「綺麗よ」と言って目を潤ませてくれた。一方、父はやはり、腕を組んだまま、少し離れた場所から黙ってこちらを見ているだけだった。それでも、その瞳がいつもより少しだけ、優しく潤んでいるように見えたのは、きっと私の気のせいではなかったと思う。撮影が始まると、父はスタジオの隅の椅子にちょこんと座り、まるで置物のように静かに、しかし、食い入るように私たちの姿を見つめていた。 その「事件」が起きたのは、全ての撮影が終わり、私たちが私服に着替えようと控室に戻った時のことだった。担当のプランナーさんが、少し興奮した様子で「新婦様のお父様から、お二人へプレゼントがあるそうです!」と告げた。驚いて振り向くと、そこには、私の父が、見たこともないほど緊張した面持ちで、一つの桐の箱を抱えて立っていた。母でさえ「あなた、そんなものいつの間に…」と驚いている。父は、震える手でその箱を私に差し出し、そして、ぼそりと、しかしはっきりとこう言った。「…これ、お前が生まれた時に作った、初めての贈り物だ。いつか、お前が嫁に行く日に渡そうと、ずっと思っていた」。 箱を開けた瞬間、私は息をのんだ。中に入っていたのは、小さな、けれどずっしりと重みのある、象牙でできた一本の印鑑だった。側面には、私の名前が美しい書体で彫られている。そして、印鑑の隣には、一枚の古びた便箋が折り畳まれて入っていた。それは、私が生まれた日に、父が母に宛てて書いた手紙の写しだった。そこには、普段の父からは想像もつかないような、喜びと、そして父親としての決意に満ちた、情熱的な言葉が並んでいた。娘の誕生を心から祝い、これからの人生、何があってもこの手で守り抜くと誓う、若き日の父の、まっすぐな想い。私が生まれてから今日までの二十数年間、父はこの印鑑と手紙を、ずっと大切に、誰にも見せずに仕舞い込み、私が巣立つこの日を、静かに待っていてくれたのだ。 もう、涙が止まらなかった。無口で、不器用で、何を考えているのか分からないと思っていた父の、その静かな愛情の深さに、胸が張り裂けそうになった。父は、言葉で伝える代わりに、時間という名の、何物にも代えがたい贈り物を、私に用意してくれていた。父は、私が生まれる前から、そして私が生まれてからもずっと、変わらない愛情で私を見守り続けてくれていたのだ。私が気づいていなかっただけで。 ふと顔を上げると、父が、泣いていた。あの、滅多に感情を表に出さない父が、手で顔を覆い、しゃくりあげるようにして、泣いていた。その姿を見て、隣にいた私の夫が、静かに父の隣に歩み寄り、その大きな背中をそっとさすった。そして、こう言ったのだ。「お父さん、ありがとうございます。この印鑑に込められた想いごと、娘さんを、必ず僕が幸せにします」。その言葉を聞いて、父は一度だけ、深く頷いた。不器用な二人の男が、言葉ではなく、涙と、背中をさするその手だけで、大切な約束を交わした瞬間だった。 この日の写真は、私たちのアルバムの中で、特別な輝きを放っている。それは、ただ美しいだけのウェディングフォトではない。父が娘に贈った、二十数年越しのサプライズと、それを受け取った娘の涙、そして、新しい家族が確かに生まれた、その奇跡の瞬間を記録した、私たちの家族の宝物なのだ。

小児科で発達障害に配慮していだだき信頼しています

発達障害のある6歳の子どもがいます。2歳の時に発達障害と診断されました。いろいろと特性やこだわりがあり、その一つとして極度の病院嫌いという特徴がありました。しかし病気になれば心配なので病院に行かないというわけにはいきません。ただ診察中だけではなく待ち時間にも大騒ぎしてしまうため、他の患者さんの迷惑にもなります。2歳で発達障害とわかったとき、それまで通っていた小児科の先生に相談すると、それまでも受診していてその騒ぎっぷりは知れ渡っていたこともあり、すぐに理解していただけました。その医院は予約制ではなかったのですが、病気になり受診したい時に電話をしたら診察時間外で診てくれるという有難い申し出をいただきました。子どもは幸いあまり熱を出す子ではなかったのですが、やはり年に2.3回は風邪で時間外でお世話になっています。そして現在は来年小学校入学ということもあり、徐々に慣らすために時間外ではなく、診察時間が終わりそうな時に受診したり、練習もさせてもらっています。小児科としての腕ももちろんですが、発達障害に配慮していだけるような信頼できる医院が近くにあって、本当に有難く思っています。